アンディー・サマーズがポリス解散後に出した1stアルバムがXYZ(1987)

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XYZでAndy Summers師匠は一生懸命歌っているのだが

 The Police解散後、すぐにAndy Summersはソロアルバムの制作に取り掛かった。Andyのソロアルバムは十数枚あるけれども、本人が歌っている唯一の作品が、1stアルバムのXYZただ一枚。何故これ以降歌わなかったかと云うと…..、聞けば納得だろう。どの曲もフラット気味に歌い、声に伸びがなく、ボーカリストとしては落第だよなぁ。

 まあ下手だけども、でもなんだかいい味を出しているのがこのアルバムの魅力。何というか、弾けないポップさとでもいうか、The Policeという肩書きを捨て、無理しない等身大のAndy Summersは、こんなミュージシャンなんだという思いが伝わってくる気がする。The Policeみたいにハデハデにデコレーションしなくてすむし、売れなきゃと言うプレッシャーもないしと云うこともあるのだろう。シンプルで暗くしんみりとしていて、それでいてAndy節が全編炸裂しまくりで(そうEvery breath you takeのギターなんか思い浮かべてくれ)、彼のファンとしてはとても嬉しいアルバムだ。

アルバムXYZのデータ

 このXYZは1986年夏ににLAのスタジオで制作され、1987年に発売された。
 プロデュースはDavid Hentschel, Andy Summersの2人
 ギターと大部分のベースはAndyが行い、ドラムはプロデューサーのDavid Hentschelとコンピューターによる打ち込みで録音された。
 ちなみにジャケット写真はAnton Corbijnによる撮影。
 このアルバムから、Love is the Strangest Wayがシングルカットされているのだが、シングル、アルバムともにチャート的にはさっぱりだったようだ。やっぱりな、、、、。

 それとアルバムタイトルの「XYZ」。これじゃ、1stアルバムなのにもう終りかよ! って思うけど、X、Y、Zこれ全て、Andyの3人の子供のミドルネームなんだよ。1stアルバムに、子どもの名前を入れるってのが、ほほ笑ましい。Summers師匠にとってアルバムは子どもなんだね。

収録曲は全10曲。トータル42分22秒。
1 Love is the Strangest Way
2 How Many Days” (Summers/David Hentschel)
3 Almost There
4 Eyes of a Stranger
5 The Change
6 Scary Voices
7 Nowhere
8 XYZ”
9 The Only Road
10 Hold Me
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これはThe Police時代を精算する『デトックス』アルバム

 さて、このアルバムの出会いなんだけど、なんでこのアルバムを手に取ったのか、ちっとも覚えていない。それはともかく、このCDを買った場所はお茶の水駅に接したビルの2階にあるセカンドハンドと云う名の中古CDショップだった。ここは確かクラシックだかジャズ中心のお店だったはず。だけどもロックの中古盤も安く売っているので、時たま立ち寄る巡回コースのひとつだった。多分1990年ぐらいのことだと思う。授業の帰りにこのアルバムを買って帰った。売れなくて大値引きのコーナーにひっそりとオレがやって来るのを待っていた。


 どうしてこのアルバムを手に取ったのか? たぶんSummers師匠ととFripp師匠のコラボアルバムが気に入っていたので、つい気まぐれで買ってしまったのだと思う。

 Andyとしては、本当は最初からインストのジャズ・アルバムを作りたかったんじゃないかなと思う。でもその前にThe Policeと云う巨大な重荷を下ろさなくてはならなかった。だからこの様な暗くて、そして弾けないポップな作品を作らなければ次のステップに移れなかったのだろうかなと推測する。

 それに元The Policeの肩書きが有れば、作ったアルバムが大ヒットして更に一儲けできるなんて、淡い期待も有ったのでは。Stingの1stがその前の年に大ヒットしていた事もあるし。ところが、Summers師匠は、自分の趣味にどっぷりと漬かったポップじゃないポップアルバムを作ってしまったわけだ。

 本人が意識していたかどうかは判らないが、Summers師匠にとってこの作品は、The Policeというストレスたっぷりの時期を精算するための、デトックスだったんじゃないかな。いつも前を見れば年下のくせに生意気でキンキン声のベーシストに、あれこれ指図されるストレス。そんなトラウマを、歌うことで、誰にも指図されずのんびりと自分の好きなように曲を作って、疲れた心を癒すシンギング・セラピー。オレだってポップな曲が作れるんだ! と。

 本人の為のそんなセラピー効果のおかげか、このアルバムを聴くとオレもなんだか脱力して日頃の無意識の体の力みが抜けて行くのだ。張り上げることなく、ぼそぼそと歌うSummers師匠。その沈み込むような声。雨振りの仕事も何もしたくない、そんな日にぼーっとして聞くのに相応しいこのアルバム。オレの長年の愛聴盤です。

 元気がない時に元気になる音楽なんか聞きたくない。そう! そんな暗くて鬱な音楽こそ、そんな時の癒しになるのだ。きっとこのアルバムを作っていたSummers師匠にとっても、この作品が癒しになっていたに違いない。師匠の心中を勝手に想像してこんなことを書いているが、そう遠くは無いだろう。

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