トーヤのバンド・The humanのライブアルバム「Live at Scala London(2010)」発表

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トーヤ toyah the human live at Scala london

トーヤはゲテモノじゃない 素晴らしい歌手なのだ

Toyahと聞けば、ごく一部でだけ盛り上がるだろう。ああ、爺さんのギターに合せて、年がいも無く乳首スケスケのシャツを着て、トチ狂ってカバー曲を歌う変なおばさんねと。

youtubeで毎週公開されている、Toyah & Robert’s Sunday Lunchのおかげで、Toyahさんの日本での知名度も上がっていることだろう。

でもただの変なおばさんだと思ったら大間違いだ。彼女はれっきとした歌手だ。しかもヒットチャートの上では、King Crimsonなんか及びもつかない売れた歌手でもある。彼女はU.Kチャート上で、8曲もTop40に入るヒット曲を出している。見た目的には、キワモノ的な、イギリスの戸川純的な奇矯な歌手にも見えるのだろうが。

毎週日曜日に公開されている、イカれたToyahのパフォーマンスに合わせてギターを引いているのは旦那・Robert Fripp。説明するまでもないKing Crimsonのギタリストだ。こんなこと説明するまでもないか。

『Live at Scala London (feat. Robert Fripp)』全曲試聴出来る

そんなToyahが率いるThe Humanがつい先日ライブアルバムを発表した。といってデジタル配信のみのアルバムで、全曲youtubeやSpotifyで視聴することが出来る。

リンク(youtube):「The Human Live at Scala London(feat. Robert Fripp)」

The HumanというバンドはToyahとking CrimsonのメンバーでもあったBill ReflinとCris Wongのトリオバンドだが、ライブではMr. Wilcoxがギターで参加している。Mr. WilcoxとはRobert Frippの名で知られるギタリストだ。

変化自在のトーヤのボーカル。そしてロバート・フリップのギターが自由奔放


このアルバムは2010年、ロンドンのスカラシアターでの演奏を完全収録したもの。youtubeで視聴出来るということで、オレは何の期待もなく仕事のBGMとして聞いてみた。

ところが、これが思いの外良いのだ。ドラムレスの前衛的ロックで、Toyahのボーカルもかわいらしい声で呟いた思えば、突如野太い声に反転する、その変化自在な歌いぷり。複雑なメロディーに、前衛的な演奏。

そして何よりも、その歌に絡むRobert Frippのギターもまた、変化自在、妖艶なフレーズから、もう抽象画のようなフレーズまで、縦横無尽に弾きまくり、女房のToyahをサポートしている。楽しげに、そして真剣にステージ上に誰もが聞いたことのない音楽世界を作り上げているのだ。

Sunday lunchでToyahを知った人は、単なるへたっぴなボーカリストと勘違いしている人も多くいるだろう。違う。彼女は人の歌を歌うのじゃなく、彼女の歌を歌うために生まれてきたボーカリストなのだ。

なので他人の歌を歌っても、彼女の真価を知ることが出来ない。嘘だと思うなら、このライブアルバムを聞いてほしい。こんなメロディーを、こんな風に歌える歌手が他にいるだろうか? 情感豊かに、熱情的に、Toyah世界を歌い上げる彼女のボーカルを堪能してほしいと思う。

Robert Frippは良いヴォーカリスト組めばすごく良い仕事をする


このライブアルバムを聞いていて、つくづく思うのだが、Robert Frippはやはり他人の作品にゲストで参加して、好き放題ギターを弾いた時に、彼のギターの凄さが現れるとオレは常々思っている。

これでも長年のKing Crimsonファンではあるのだが、正直90年以降のCrimsonは全く面白くない。Bobさんのギターが糞つまらないのだ。こんなことを言えば大多数のCrimsonファンから大避難されるだろうし、スターレス高島から死客を送られそうだ。

だが、面白くないものは面白くない。情感のない冷たいヘビーなリフばっかりで、退屈なのだ。

だが、今回このToyahのライブアルバムを聞いて、オレは確信した。やはりBobさんは、感情豊かなボーカリストが居ないと、彼のギターは生きないと。彼はこれまで数々のロックミュージシャンのアルバムに客演してきた。そのどれもが、Bobさんのギターが加わることで、そのアーティスト本来の実力以上の作品に仕上がっているのだ。

今回のこのToyahのアルバムも例外じゃない。どうして今のCrimsonではこんな素晴らしいギターを弾いてはくれないのだろう?

まあそれはともかく、これはToyah The Humanの10年前のライブ作品になるが、この音を堪能してほしいと思う。

Sunday Lunchではなんじゃこれ?なカバーを披露していたが、ここで聞けるJimi HendrixのPurple hazeのカバーはとても良い。やはりToyahはただのイカレポンチのおばさんじゃないのだ。

それにしてもCDで発売されないのがとても残念だ。

ちょうど30年前に発表になった、ToyahのバンドSunday all of the worldのKneeling at the Shrineは傑作。やはりMr. Wilcoxがギターで参加。


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