フィリップ・K・ディックの「ザップ・ガン」(1967年発表)は現代を風刺する
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最大の防衛力はあるんだか無いんだか分からない究極の兵器
神戸製鋼の生産した改竄アルミ問題でつい先日家宅捜査が入った。北朝鮮も持っているんだか持っていないんだかはっきりしない核兵器。はっきりしないからこそ防衛に役に立つ兵器って云うものがある。
こんな神戸製鋼の出来損ないアルミを使ったミサイルで日本を本当に防衛出来るわけないし、防衛は危機を煽る事で儲かる奴らがいるわけで、迎撃ミサイルなんか中国製の花火で十分なんだろう? だから神戸製鋼は出来損ないのアルミで十分だと判断したんだな。分かりやすい話だ。
神戸製鋼の出来損といえば、出来損ないの知恵遅れソーリ大臣が唯一就職していた勤務先。やはり出来損ないを雇うような、出来損ない会社が作るものも出来損ないなんだねw
フィリップ・K・ディックのザップ・ガン!
フィリップ・K・ディックはもう40年前になくなったというのに、2010年代に新刊、新訳が次々と刊行されている。なんとも希有な作家だと思う。
フィリップ・K・ディックの作品にザップ・ガンというのがある。久しぶりに読み直したんだけど、たぶん25年ぶりだと思う。オチだけは覚えていたけれども、細かなストーリーはすっかり忘れていて、軽快なストーリー展開もあり3日ほどで読み終えてしまった。この作品の評価は傑作、駄作いろいろあるけれども、オレは怪作で良いんじゃないかなと思う。
物語の世界は、東西冷戦の未来の社会。西東両陣営には兵器ファッションデザイナーなる者がいて、最新兵器の研究開発に余念が無い。その兵器ファッションデザイナーというのが、これまたいかがわしい職業で、ドラッグの陶酔状態の時に見たビジョンを元にして新兵器を作るという、なんともイカレタ設定。実は東西冷戦というのも統治下にある国民をだまくらかす為の目くらましで、実は西も東もなれ合っているという世界。
だからこの兵器デザイナーが作成する兵器というのも、実際には使い物にならない出来損ないばかり。東西の緊張感さえ保てばいいのだ。これって今の世界そのものだろう。いや昔からそうだったんだよ。
そんな世界に突如本当の危機が訪れる。シリウス星から謎の異星人、キチン質の甲殻類が高等進化した異星人が、地球人を奴隷としてさらい始めたのだ。その異星人をやっつける為に、東西を代表する兵器ファションデザイナー達は、本当に使える兵器ザップ・ガンを作らねばならないと云うのが、この小説の大筋。何とも二転三転するドタバタの展開で、フィルが生活費を稼ぐ為にどんどん書きなぐった作品というのがありありとしている。
でも、これがなんだか妙に面白く、ブッたまげた世界観で面白いんだな。兵器ファションデザイナーと云うだけでもうさん臭いのに、なんとドラッグでトリップして兵器のアイディアを得るというそのデザイン方法。
注意:直ぐ下にこの作品のオチが書かれています。
そしてオチになるんだけど、対異星人用の兵器というのが、かわいらしいキャラクターが閉じ込められたパズルとは! 名前だけは仰々しくも、カッコいいザップガン。その実態はパズルとは! 馬鹿馬鹿しいもここまで行くと、アッパレだと思う。
兵器産業は緊張を煽って儲ける
さて、現実世界にもどって、神戸製鋼のガラクタ素材の問題。こんな材料を使ったミサイルで本当に日本を護れるなんて思っているのかね? 存在しているんだかしていないんだか分からない北朝鮮のポンコツミサイルから日本を護る為に作っているのが、出来損ない素材で作られたミサイル。
これじゃまるでザップ・ガンの世界じゃないかw 所詮作られた緊張、いかさまの軍事的緊張。出来損ないの「蚊帳の外ソーリ」見たいな政治家をうまく使って、兵器産業がちょうど良い緊張関係を極東に作り出し、大儲けするという構図が直ぐに目に浮かぶ。米朝会談はこれからどうなるか分からないけども、そういうウジ虫ビジネス会社の泪目が目に浮かぶね。ああ、メシが旨い。
真剣に防衛を考えていないという、真剣に考える必要なんか無いと云う、兵器産業のなれ合いビジネスがこんな事件から透けて見える。どうせ本当に戦争なんかしないんだから、日本国民に緊張感を与え続ければどんどん兵器が売れるし。だからガラクタ兵器で平気だってね。
可愛らしいが実はとっても残酷な兵器ザップガン
再び注意 ザップ・ガンのオチが下記に書かれています
さてザップガンだが、かわいいキャラクターを迷路から脱出させればゲーム終了。ところが、脱出成功のその刹那、迷路のパターンが変化して、再びそのキャラクターは抜け出せなくなってしまう。又スタートからのやり直しを強いられる。
このゲームをするものは、徐々にこのキャラクターに共感度が増し、最終的にはゲームに精神的に取り込まれてしまうという。キャラクター共々、一生抜け出せないその迷路に閉じ込められ、精神崩壊して廃人になってしまうというのが、その究極の兵器「ザップ・ガン」の正体。
拉致された地球人共々このゲームをシリウス星に送り込み、ゲームにハマったシリウス星人は精神崩壊して、最後には地球は守られる。そのゲームの鍵は、他者への共感能力、同情心。それは知性のあるものなら備わっている、人間と非人間(アンドロイド)を区別する大事な能力だ。
残念な事にこのザップガンを、「蚊帳の外ソーリ」君に渡したとしても、全く効果がないだろう。「蚊帳の外ソーリ」君には、他者に対する愛情、同情心なんかこれっぽちも持たない、甲殻類以下の生き物なのだから。
そんな「蚊帳の外ソーリ」君には、誰も人がいない福島の放射能フレコン集積場で一人演説するのがお似合いだ。いつまでも一人で、「日本をトリモロス」と叫んでいるが良い。どこに行ってもヤジで迎えられる「蚊帳の外ソーリ」相応しい、これぞ抜けられない迷路だ。
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