エリック・クラプトンのレディ・イン・ザ・バルコニー 音楽は神への捧げ物 Eric Clapton / The Lady In The Balcony(2021)
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ロック界1の嫌われ者?エリック・クラプトン
このコロナ騒動ですっかり友達がいなくなってしまい、ロック界の嫌われ者になってしまったのがEric Claptonさん。彼のおかげで、逆にうさんくさいニセモノがはっきりと判ってありがたい。
ロックと云えば、自由だ、反体制だなんて言うのは実は見せかけだけの話で、そんなのはカッコだけなのだ。だからEricさんのように本当の事を言うと、嘘だ、あいつはキチガイだとか、いろいろ批判して、Ericさんの口を閉ざそうとする。
Neal Old始め、それまで自由を歌ってきたミュージシャンは、実はうそつきばかりだったと云う事がはっきりした。ロックじゃフリーワールドなんか作れやしない。
おっと、それを言うならロックなんか最初からうそつきの見せかけの反体制だったわけだよ。The Beatlesなんて典型的なその例だろう。The Beatlesこそ「奴ら」が作った最高の芸術品だって訳だ。
それはともかく、そんなロックの虚構を事を真に受けて、奴らの思惑に反する事を正直に言ってしまったEricさんは、今やロックミュージシャンの中ではつまはじきもの、世界一の嫌われ者になってしまった。まるで内海聡医師のようだ。
そういう事で、Eric Claptonさんこそ掛け値なしの真のロッカーだとアタシは思っている。
とにかく素晴らしいThe Lady In The Balcony
2021年の末に発表された、EricさんのThe Lady In The Balconyが素晴らしく良い。ほとんどの曲はアコースティックギターで演奏され(最後の3曲はエレクトリックギターで演奏)、実にしぶくそしてカッコのよいアルバムに仕上がっている。アタシの妻は以前発表されたUnplugedよりずっと良いと、毎日聞きほれている。
このアルバムは、2021年5月に予定されていたRoyal Albert Hallでのライブが中止になったことがきっかけで作成された。Royal Albert Hallでの公演の代わりに、West Essexの貴族の屋敷にバンドメンバーを集めた。そこで行われた無観客のセッションを録音した、一発取りのライブセッションの記録だ。
録音に使われた屋敷のホールでは針が堕ちても響くような環境のため、細心の注意を払って録音、録画されたとライナーノーツに書かれている。そのためこのホール内にいた部外者はただ1人だけ、バルコニーで演奏を見守るEricさんの妻だけだったと言う。それがこのアルバムタイトル、The Lady In The Balconyになった。
バンドメンバーは長年の付合いのあるものばかり。それこそもうお互いが手足のごとく、阿吽の呼吸での演奏が繰り広げられている。
収録された曲はファンならもうお馴染の曲ばかりだ。あたしも若い頃なら、こうしたブルーズの良さがいまいち分らなかったが、50代も半ばになると実に心地よい音楽だと言う事がようやっと分るようになった。
決して上手い歌手じゃないEricさんだが、声が良い。聞きほれてしまう。彼もこの70数年色々しでかしてここまで来たけど、その人生全てがこの歌声を作っていると思う。
収録曲は17曲。
- Nobody Knows You When You’re Down And Out
- Golden Ring
- Black Magic Woman
- Man of the World
- Kerry
- After Midnight
- Bell Bottom Blues
- Key to the Highway
- River of Tears
- Rock Me Baby
- Believe in Life
- Going Down Slow
- Layla
- Tears in Heaven
- Long Distance Call
- Bad Boy
- Got My Mojo Working
この時の様子は映像にも残されている。アタシはCDだけの盤を購入したのだが、後でyoutubeで映像を見ていると、DVD付きのものにすれば良かったと後悔した。
以下にyoutubeで公開されている演奏のリンクを張っておく。
■Noody knows you when you’re down and out
■Layla
■Black magic woman
■Golden ring
■After midnight
音楽は神への捧げ物
それにしても未だにEricさんは世界3大ギタリストだの、ギターの神様だのと言うクソみたいな肩書きに、どうも違和感を感じる。このアルバムを聞いてとくに強く思った。
このアルバムに納められている音楽は、Ericさんのギター演奏だけじゃない。彼は確かに卓越したギター奏者ではあるが、彼は純粋な音楽家だ。ミュージシャンであって、ただのギタリストじゃない。曲を作り、ギターを弾きながら、そして歌うのだ。そういう存在はミュージシャンと呼ぶべきだ。そういうレッテル張りが、Ericさんの正しい評価をゆがめている気がしてしょうがない。
それはさておき、ここに納められた音の素晴らしさに、聞く度に心が震える。音にエネルギーが充ち、とても美しく汚れの無い音に満ち満ちているのだ。ここに納められた音は、それはもう神に捧げたとしか言いようが無い。ホール内に居るのはバンドメンバー4人だけという演奏は、お互いがお互いに向き合い、そして神に対して向き合って演奏している。無観客で演奏されたと言う事もあるのだろう、その事がよりはっきりと明確になっている。
長年の付合いのバンドメンバー達とリラックスして、音楽を奏でる事を純粋に楽しむ事で、音楽そのものに向き合う事になる。それはまさに神へ音楽を捧げる行為だとアタシは思っている。ただ美しい音を出す、それは神への捧げ物だ。
映像に映るこのホールに集まる光はなんて優しくて美しいのだろう。彼らが演奏する姿はなんて神々しいのだろう。それは彼らが奏でる一音一音全てが、神に向けて捧げられているからだ。
このようなアルバムを聞くと、音楽とは神に対する捧げるものなんだという事を強く実感する。
The Lady In The Balconyは、アタシにとって2021年のベストアルバムだ。
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