UKのナイト・アフター・ナイトは絶対に買わないと

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ナイト・アフター・ナイト 

King CrimsonからU.Kへは自然な流れ

 U.K.と言えば、King Crimson(以下KC)の73〜74年のラインナップが好きな人なら、絶対に聞くべきバンドだろう。中学生の時にKCの洗礼を受けて、貪るようにバンド、バンドメンバーの情報を吸収していたあの頃。元KCのメンバー2人が結成したバンドがあるなんて聞いたら、いったいどんな音を出すのだろうと、興味が沸騰しちゃうよ。

おまけにそのころ読んでいたロック雑誌でプログレ特集をやっていた。その記事で、John WettonとBill Brufordの2人は究極の変拍子リズム隊と書かれていた。その2人が作ったバンドU.K.はプログレファンなら必聴!なんて煽られたらもう、中学生の妄想はどんどん肥大するばかり。もう気になって気になって仕方がなかった。

 でも結局の所U.K.の音に初めて触れる事が出来たのは、高校2年生、1984年の事だった。それは「憂国の四士」なんて、訳の分からない大げさな日本語タイトルが付けられた1stアルバムだった。1曲も事前に聞く事なく、えいやっと思い切って買ったよ。お小遣いの少ない高校生には大博打だった。今みたいにyoutubeもないしね。


聞いて納得これは究極の変拍子リズム隊だ。1曲目からもう、これはどうやってノレば良いのと言う変拍子のハリケーン。複雑な曲構成、超絶の変態リズム。殆どの曲が変拍子。なのに素晴らしく耳に残る、美しいメロディー。変拍子の曲なのに鼻歌が謡える。まったくもってすばらしいアルバムだった。

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 U.Kが残したアルバムはたった3枚だけ。1st、2ndはスタジオ版だけど、3枚目のNight after night(以下長いんでNANと表記する)がライブアルバム。スタジオ版はさんざん聞いたけど、ライブアルバムは後回しにしてしまった。そのうちそのうちと思っていたら、気がついたら35年も時間が過ぎてしまったよ。


  1980年代当時の網走には関西テレビと云う電気屋があって、そこの地下1階はレコード売場になっていた。在庫は少ないものの、プログレ、ハードロックが異常に充実していた。そこにはNANがいつも在庫していて、「何時か買うぞ」と心に誓っていたんだけどね。今じゃ関西テレビそのものが、無くなってしまっていた。網走の4条通りの寂れ方は、何だかオレの青春時代まで寂れてしまったように感じて寂しい。

John Wetton様の香典代わりにナイト・アフター・ナイトを購入する

 今年の1月31日はJohn Wetton様の一周忌だった。去年のあの悲しい出来事からもう一年も経ってしまったとは。John様の一周忌の香典代わりに何か彼の作品を買おうと思ってネットを検索していたら、NANが目に飛び込んできた。こんな大物アルバムを未だ持っていなかった事をようやっく思い出した。そんなわけで、少年が堅く胸に誓った思いは、50過ぎのおっさんになってから叶う事になった。今年のJohn様の香典として。ちなみに去年はRoad to Redだった。

ナイト・アフター・ナイトの広告
たまたま保存していたロッキンオンになんとNANの広告が掲載されていた。
その夜、プログレッシブ・ハリケーンが吹き荒れたんだぞ。きっと観客は大変だったろう

 NANを聞いて思ったのは、1stと2ndはつくづく毛色の違うアルバムだったんだなぁということ。1stアルバム時のバンドメンバーにはBill BrufordにAllan Holdsworthがいた。だからとてもジャズっぽい。プログレというよりも、ジャズロックといった方が良いかも知れない。

その2人が脱けTerry Bozzioが加入して作られたのが2ndアルバムDanger money。2ndは、前作と打って変ってジャズ色が無くなり、ロック色がとても強まり正にプログレの音。この2つの作品は、それぞれ完成した個別のものとして聞いていたので、そんな事に今までまったく気がついていなかった。

 というのは、このNAN、もちろん1stの4人囃子じゃなかった4人U.K.の曲もやっているのだが、ドラムが違うだけで曲の表情ががらりと変わるのだ。Terryのドラムはとってもロックぽいんだな。何と言ってもダイナミック、派手、大迫力。スタジオ盤ではBillが叩いていたIn the Dead of nightやAlaskaがNANだと、この曲ってこんなにロックっぽかったっけ? と驚いた。メンバーが替わるとこうも音が変わるもんなんだね。


  そんな事も有り、1stの曲がまるで別バンドのように、タイトでプログレロックらしく演奏されている。その違いを聴き比べるのもこのアルバムの聞き所だと思う。Allanのギターが無くなったのはちょっと寂しい感じもするのだが、その分Eddieがキーボード、バイオリンで、ギターの不在を補うどころか、それ以上に伸び伸びと自由に弾きまくっている。

トリオバンドという最小限の編成で、どれだけの事が出来るのか? という良いお手本だと思う。何という緊張感。1瞬たりとも手が抜けないよね。

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ナイト・アフター・ナイトの簡単な背景説明

最後に、NANの背景をちょっと書いて終わりにしようと思う。収録曲は下記の通り。

NANの収録曲は全10曲
1 NIGHT AFTER NIGHT
2 RENDEZVOUS 6:02
3 NOTHING TO LOSE
4 AS LONG AS YOU WANT ME HERE
5 ALASKA
6 TIME TO KILL
7 PRESTO VIVACE
8 IN THE DEAD OF NIGHT
9 CAESER’S PALACE BLUES
10 WHEN WILL YOU REALIZE

 ただし最後のwhen will you realiseはCD化にあたって付け加えられたボーナストラック。オレ的にはこのボーナストラックは不要だと思っている。なんだかせっかくのアルバムの完成度が、この余計なボーナストラック1曲の為に台無しなってしまった。アルバムの整合感が失われるわ、音質も悪いし。嫌いな曲じゃないんだけども。

  で、このボーナストラック、John Wettonの1stアルバム、Caught in the crossfireの3曲目として日の目を見ています。

 それはともかくとして、この驚異のライブアルバムは、1979年5月30日,6月4日の来日公演を編集して作られたそうだ。非常にいいアルバムなんだけど、どうも実際のライブ演奏にずいぶん手が加えられているらしい。曲順も全然違ったそうだ。

それにその辺りの詳しい事は、究極のU.Kボックスセット、Ultimate Collector’s Editionのブックレットに詳しく書いてあるんだと思う。なんせ3万円近い高価なボックスセットなんで、手が出せない。

  そのボックスセットには、NANの元になった5月30日の中野サンプラザホールのライブがCD2枚で完全収録されている。未発表部分が50分もあるとか。ああ、それだけでも単品でリリースされないものだろうか。完全版を聞く事が出来るのはまた、35年後なんだろうか。その頃にはオレ生きてないな。


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