ジョージ・ウィンストンがカバーするドアーズの名曲の数々

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George WinstonのThe Doorsのカバーアルバム

 最近The Doorsの曲をよく聴いている。自然と彼らのCDを手に取ってしまう。The Doorsとはオレが中学生の時に出会ったので、もう35年以上の付き合いになる。数少ない敬愛するアメリカンロックバンドの一つがThe Doorsだ。

 女房が結婚の時に持ち込んだCDが150枚ほどあって、CD棚を見ていると、たまに見知らぬアルバムが出てくる。先日ピアノのイージーリスニングものを探していた。女房のCDはヒーリング系とか、スピリチュアル系のCDが充実している。すると見たことの無いGeorge Winstonのアルバムが目に留まった。興味を引かれたのはそのアルバム・タイトル。「NIGHT DIVIDES THE DAY 」と書いてある。聞き覚えのあるフレーズだ。これってThe DoorsのBreak on throughの詩の一説じゃないか? さらに、タイトルには続きがあった。ーTHE MUSIC OF THE DOORS ーと。

Night Divides the Day-Music of the Doors

 イージーリスニングのGeorg WinstonがThe Doors? んな訳ないだろうと、早速曲目をながめてみると、どれもこれもオレにはお馴染のThe Doorsの曲名が並んでいるでは無いか! George WinstonがThe Doorsのカバーするなんて、嘘だろ!?。
 女房にこのアルバムの事を話すと、「え、そのアルバムってThe Doorsのカバーアルバムだったの!」と驚いていた。彼女はそのことを知らずに長年このアルバムを聴いていたという。その事の方がオレには驚きだ。

 さて、このGeorge Winstonの「Night Divides the Day-Music of the Doors 」、これは彼の9枚目の作品で2002年に発表された。Ray Manzarekがこのアルバムを「このアルバムは大好きだ。彼はThe Doorsの精髄をとらえながら、そして彼の味付けもしている」と語っている。2002年のビルボードのチャートでは最高91位までしか行かなかったらしい。アメリカ人は無粋だから、こんな素晴らしい音楽を理解できないんだな。

オレ思うに、George Winstonは「Autumn」などで名声を博して、やっとやりたい事を誰にも遠慮すること無く作ったアルバムがこれなんだろう。一聴してピーンと来た。ここにはThe Doorsに対するものスゴイ愛情が満ちあふれている。

 George Winstonってイージーリスニングの人だから、ロックなんか聴いていないと思い込んでいたが、彼は熱烈なThe Doorsのファンだと言う事がよくわかる。アメリカではThe Doorsのラストアルバム「LA Woman」が最高傑作だと云われているけど、コアなファンはやはり何と言っても初期の陰鬱な曲が大好き。このアルバムも初期から中期の曲を中心にカバーしている。
 アルバムの曲リストは以下のとおり。

1. Spanish Caravan
2. The Crystal Ship
3. People Are Strange
4. Love Street
5. Love Me Two Times
6. Love Her Madly
7. Wishful, Sinful
8. Light My Fire
9. My Wild Love
10. Summer’s Almost Gone
11. I Can’t See Your Face In My Mind
12. Riders On the Storm
13. Bird of Prey

どの曲もThe Doorsへの愛が溢れているカバーアルバム

 いきなりSpanish Caravanから始まるんだよ、ちょっと奥さん。しかも、あのギターイントロの雰囲気をピアノで正確に再現している。聴いててにんまりしちゃうよこれ。
 アルバムタイトルがNight divide the dayなのに、その歌詞が歌われている歌「Break on through」はカバーされていないのもちょっと捻くれていて面白い。

 どの曲も原曲の面白い所、良い所は忠実に再現していながら、George Winston風にちょっとアレンジされていたりして、The Doorsのファンには面白い仕掛けがいっぱいある。一番受けたのは、Love me two timesのリードギター部分の再現。あの跳ねるような粘っこいギターをピアノでやっているのには噴き出しちゃったよ。あの、流れるような華麗な、叙情的なピアノを弾くGeorge Winstonがこんなピアノを弾くなんて。きっと録音時はノリノリで引いていたんだろうと云う事が、目に浮かんでくる。

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 The Doorsと言えば最大のヒット曲が「Light my fire」なんだけども、6分強の少々長い曲。中盤のキーボードソロが長いんだな。だけども、このカバーは9分もある。いくらテンポを遅くしたからって9分は無いだろうよ。不審に思いながら聴いて見て納得した。Light my fireの終わりが、そのままThe Endに繋がってゆくのだ。遊びが好きだね。やはりこの曲がこのアルバムの一番の聞き所かな。 

 このアルバムを聴いていると、ピアノのソロ演奏なのにも係わらず、歌が聞こえてくる。Ray Manzarekの云う通りだ。George WinstonはピアノにThe Doorsの歌を歌わせているのだ。ピアノがJim Morrisonに憑依されているのだ。これをライブでやっていて、Georgeがステージ上でインディアンみたいにグルグルと回り出したり、陰部を出してしまわないかオレは心配だ。The Doorsの音楽には呪術性がある。取り憑かれたら怖いんだよ。


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