OMDのエレクトリシティは4バージョン存在する Electricity / OMD

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OMDのElectricity 最も愛するテクノポップ名曲

Orchestral Manoeuvres in the Dark(以下OMD)のElectricityはオレが最も愛するテクノポップの楽曲だ。初めて聞いたのは1980年の夏ごろだった。当時同級生の間で人気沸騰中だったYMOよりもOMDに夢中になったのは、この曲があったからだ。

好きになり過ぎて鞄やシャツにまでElectricityなんてマジックで書いていたくらいだ。13歳のオレにとって、この曲は時代の先を行く未来の音楽に聞こえた。

その当時のオレは既にKing Crimsonとも出合っていたが、鞄に「クリムゾンキングの宮殿」なんて書くわけがない。Electricityには、なにか他と違う未来を感じさせるものがあったのだ。たとえその意味が単なる「電気」だったとしても。

出逢ってから40年後にElectricityのPVを観る

Electricityにはプロモーションビデオがある。当時(1980年)は全く目にする事が出来なかったが、今のご時世はyoutubeという便利なものがある。それで初めて見たOMDの姿にとても驚いた。

とてもクールな音のElectricityだったが、その映像に映るOMDの2人の姿は、とてもロックしていたのだ。特にベースのAndy McCluskeyには驚いた。ベースを高く構えて、ノリノリで楽器を弾いているじゃないか。とてもテクノポップとは思えない、ノリノリの楽器演奏。これじゃまるでThe JamBruce Foxtonの様だ。

もしこの当時のオレがこのPVを観ようものならきっと驚愕したろう。というのはその当時のオレははろくに楽器の知識もなく、Andy McCluskeyが弾くベースという楽器は、円形状で大きな電子楽器の一種に違いないと勝手に想像していたのだ。なのでこのPVを観たなら、なんだただのギターじゃないか! ちっとも未来の楽器じゃないじゃないかと驚いた事だろう。

youtubeへのリンク:Electricity / OMD

1980年当時の主な音楽情報源はロック雑誌とラジオだった。OMDの情報なんてほとんどなかった時代に、アルバムのライナーノーツはとても貴重な情報源だった。まさかこんなノリノリバンドだったとは。オレの想像と全く違った彼らの姿を40年後に目にしたわけだ。子供の想像力は大事にしたいね。

OMDはElectricityによって成功をつかむ

電気柵きけん

ElectricityはOMDの2人が初めて一緒に作った曲だった(1975年)。その時の彼らはたったの16歳だった。エネルギーの無駄使いを懸念する内容の歌だった。1978年、OMDの前身バンドThe Idでこの曲は初録音されている。その音源も聞いてみたいものだ。

Joy Divisionが1978年にリバプールで行ったライブで、OMDは前座を勤めた。それが彼らの初ライブだった。それをきっかけににして、Joy Divisionの所属するFactoryレーベルに、彼らはデモテープを送りつけた。その作戦が成功し、彼らはFactoryレーベルからデビューする事になったのだ。

それがElectricityのバージョン1(1979年の5月21日リリース)になる。プロデューサーはJoy Divisionの作品のプロデュースで知られるMartin Hannettが担当した。逆算するとOMDの2人はまだ20歳の時の話だ。

このバージョン1がJohn Peelの耳に留まり、彼が番組で紹介した。それがきっかけで音楽プレスの目に留まり、メジャーレーベル(Virgin傘下のDindisc)との契約獲得につながって行く。こんな風にOMDは、とんとん拍子に成功の急坂を登っていった。そしてこの曲はテクノポップ時代の先駆けの曲として輝くというわけだ。

Dindiscと契約したOMDはまず、シングルとしてElectricityを再発する。それがヴァージョン2になる。プロデューサーは彼ら自身とバンドのマネージャーが行った。Martin Hannettは音をいじり過ぎるとして忌避されたそうだ。

そして1stアルバムOrchestral Manoeuvres in the Darkではリミックスし直されたElectricityが収録された。それがヴァージョン3ということになる。

ということでオレがこれまで聞いていたのは、1stアルバムに納められたElectricityだった。全部で4ヴァージョンもあるとは、この曲を初めて聞いてから40年も経って知ったよ。

たまたまyoutubeでElectricity(Factoryレーベルバージョン)という曲をみつけたことから、オレはこの曲の別バージョンの存在に気がつく事になった。

youtubeへのリンク:Electricity(Factoryレーベルバージョン) / O.M.D

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4バージョンあったElectricity

Electricityバージョン1(Factoryレーベルバージョン)

Martin Hannettがプロデュースしただけあって、音の響きがJoy Divisionを彷彿させる。確かにいじりすぎだと思う。

先に紹介したyoutubeのfactoryバージョンと、このバージョン1は別物で、なぜ2つのFactoryバージョンがあるのだろうという疑問が出てきた。色々調べて、そして聴き比べての結論としては、youtubeに上がっているFactoryレーベルバージョンは、Factory時代のデモバージョンだと言うことが判った。

Electricityバージョン2(Dindisc シングルバージョン)

うーむこれが良くわからない。これはyoutubeで見つけたDindiscのシングルを再生している動画。たぶんこれがそのバージョン2だと思うのだが、、、、。バージョン3との違いが分からない。バージョン3をシングルとして出したものかもしれない。誰か判った人がいたら教えて欲しい。

youtubeへのリンク:Electricity(Dindiscバージョン2?)

Electricity バージョン3(1stアルバムバージョン) 

1stアルバムに収録された一番おなじみのバージョン。

Electricityヴァージョン4(Dindisc Organisationセッションバージョン)

他のバージョンにはない間奏が加えられている。これは彼らの2ndアルバムOrganisation製作時のセッションでつくられたもの。その際に他のバージョンに無い間奏が付け加えられた。わずか数年の違いが、シンセサイザーの音色の違いになっているのが良くわかる。つまり付け加えられた部分だけ浮いている。


多くの人にはどうでも良い事だろうが、Electricityの別バージョンを調べていると、敬愛するJoy Divisionとの接点も見つけてしまい、小躍りしている。OMDとJoy Divisionはかつて同じレーベルに所属していたのだ。オレの好きなバンドがどんどんと繋がって行く。

21世紀のOMD まるで老人会の余興のようだ

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最後に彼らのつい最近のライブ映像を紹介してこの記事を終えよう思う。これは2019年のOMDのライブからの映像。もはやきりりとした青年の面影は何処にもなく、ムネと腹の出た老人がノリノリでベースを弾き歌を歌う。ベースギーターの位置が低くなったのは、きっとお腹にボディーが引っかかる為だろう。もう1人のおじさんはすっかり頭髪が薄くなってしまった。これじゃまるで老人会の余興じゃないか。

そんなわけで子供の頃に未来の音楽と思って聞いていたElectricityを、その未来に聞いてみた話でした。老人会の余興がその未来だったとは。

ノリノリのおじさんが歌うElectricity!

youtubeへのリンク:OMD – Electricity (Live at Hammersmith Apollo 2019)

参考記事
wikipedia: Electricity

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