生きる事の意味を歌にして問うカーティス Curtis Mayfield / New world order(1996)

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new world order curtis mayfield 悲劇が生んだ1枚のアルバム

カーティス・メイフィールド ニューワールドオーダー

New World Order(以下NWO)は、Curtsさんの最後のアルバムになってしまった。リリースは1996年10月。このアルバムはアメリカではR&Bのチャートで24位を記録している。

この作品を作り上げて、Curtsさんは1999年12月26日に57年の生涯を終えた。この作品の何がスゴイかというと、Curtisさんは首からしたがマヒした状態で、歌を作り、そしてレコーディングまでしたのだ。

周囲の全面的なバックアップもあった。そりゃあもう手足が動かせないのだ。一切の楽器を弾く事が出来ない。だがCurtisさんにはただ一つ、声だけが残されていた。そのたった一つ残された声を駆使して、この作品がこの世に生まれ出た。

Curtis Mayfieldさんの悲劇

悲劇の事故は1990年8月13日のライブ中に起きた。場所はニューヨーク・ブルックリンの野外ステージ。折しも強風が吹く非常に天候の悪い日だった。そんな日にも関わらずCurtisさんはステージで歌わされようとしていた。集まった聴衆に1曲でも聞かせたいという主催者のエゴが、Curtisさんをステージに向かわせた。

司会を務めるMartin Markowitzという、クソ民主党の上院議員がCurtisさんを紹介する。正にその時猛烈な風が吹きつけ、天上からつり下げられていたスピカーや照明装置がステージに落下した。照明器具は不幸にもCurtisさんの首から背中に直撃してしまった。Curtisさんはこの事故で頚椎骨折を負い、首から下がマヒしてもう二度と動かす事が出来ない体になってしまった。

このコンサートはMartin Markowitzという、クソ民主党の上院議員がスポンサーだった。嵐が迫る中1万人の観客が待っている事から、コンサートを強行させたという。Curtisさんは、アホ上院議員の強欲の犠牲になってしまったのだ。

■リンク:30 Years Ago: Curtis Mayfield Paralyzed During an Outdoor Concert

諦めなかったからNew World Orderが生まれた

首から下が動かないなんて、もう絶望しかない状態だと云うのに、Curtisさんは創作を諦めなかった。ベッドに横になりれば、胸と肺が重力を使って上手く動く事に気がついた。

周りのサポートを受けつつ、Curtisさんは背中を下にしてベッドに横たわり1フレーズごと歌入れを行なったという。そして、ついに1枚のアルバムを完成させた。それがNWOだった。そうやって63分もの大作を彼は作り上げた。

手足を動かす事が出来ない、だから楽器も弾く事も出来ない。そんな状態で彼は作曲をし、作詞をして、そして歌も歌った。1枚のアルバムを作るのに、これ以上の困難を乗り超えた人は他にいるのだろうか? 音楽を作る、人々を鼓舞する。それがCurtsさんがこの世に生まれ出てきた努め。彼はどんな困難に遭遇しようとも、その努めを放棄しなかった。

アルバムNew World Order

1. New World Order
2 Ms. Martha
3 Back to Living Again
4 No One Knows About a Good Thing (You Don’t Have to Cry)
5 Just a Little Bit of Love” (featuring Blaise Mayfield and Lisa Coates)
6 We People Who are Darker than Blue” (featuring Roger Troutman)
7 I Believe in You” (duet with Sandra St. Victor) 4:58
8 Here But I’m Gone
9 It Was Love That We Needed
10 The Got Dang Song
11 The Girl I Find Stays On My Mind
12 Let’s Not Forget
13 Oh So Beautiful” (featuring Erik “E Smooth” Hicks)

アルバムの録音は1996年2月から6月にかけて行われている。


生きる事の意味を音楽に込めたCurtisさん

NWOというのは「奴ら」の世界支配の合言葉。その世界は人々を孤立させ、何も考えない家畜にしてしまった社会だ。正に今、あたしたちが住む世界こそNWOだ。新しい生活様式なんてクソみたいな言葉が頭によぎる。

Curtisさんはあえて最後の(覚悟を持って)アルバムタイトルにこの言葉を使った。そこで歌われるのは絶望の中の微かな希望。CurtsさんらしいNWOに対する反論だと思う。人々の心が変われば、新しい日が来るんだ、新しい秩序が来るんだと1曲目で歌われている。

■リンク:アルバム1曲目のNew World Orderの歌詞

今は確かに絶望的な情況だ。世界中でメディアは嘘ばかり。多くの市民はその嘘っぱちの世界を信じ切り、奴らの言いなりになっている。だけども、そんな時代だからこそ、その嘘に気がつき、新しい日を作ろうという動きが始まっている。それにしても、なんて崇高な詩なのだろう。

NWO、まさに今の時代を歌う歌だ。Curtsさんはもう25年も前に、奴らに対する警告を歌の形で残してくれた。どんなに辛い時代だって、顔を上げて前に進み続けるんだ。それが新しい世界を作る方法なんだと。

首から下がマヒした状態に有りながらも、最後の最後まで光を見続けたCurtisさん。この奇跡的なアルバムを大事に聞き続けてゆきたいと思う。絶望の中にこそ、きらりと輝く小さな希望が現われるのだ

どんな情況になったって、諦める必要は無いんだ。体が不自由になったって、Curtisさんはこうやって1枚のアルバムを残したんだ。光を胸に前に進み続けよう。

それにしても神はここまでして試練をあたえて、彼を試そうとしているのか? そんな言葉が頭によぎる。だが彼はこんな体になっても諦めず、そして神を信じ切っているのだ。

彼は生きる事の意味を人々に問い続けている。それがこのアルバム全体に込められたメッセージだ。

6曲目のセルフカバー、We people who are darker than blueの最後の言葉で、この投稿を閉めようと思う。

「明日はもっと佳い日になるよ。」


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