カリフォルニア・ギター・トリオ California Guitar Trio 彼らこそプログレッシブ!

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Echoesをアコースティックギターでカバーする

 Robert Fripp師匠の弟子達が結成した電気アコースティック・ギター・トリオ、California Guitar Trio(以下CGT)が面白い。オレが彼らを始めて見たのは1992年(たぶん)のDavid Sylvian and Robert Frippのライブの前座だった。その後も、同年の11月にRobert Fripp String Quintetとして来日した時も、彼らの演奏を聴いている。その後オレは彼らの活動を見聞きする事が無かったのだが、ひょんな事からyoutubeで彼らの最近の活動を見て、とても驚いてしまった。

 youtubeでKing Crimson関係を検索していたら、お勧めの動画に遠い昔に聞いた名前が出ているじゃないか。おお、CGTはまだライブ活動しているんだ! と驚いていると、その動画の曲名が「Echoes」と書いてある。「Echoes」とは、もちろん日本のロックバンドの事じゃない。プログレファンにとっては、その単語が意味する事はただ1つ、Pink Floydのあの長尺の名曲以外にあり得ない。まさか! あんな曲をギターだけでカバー出来るわけないじゃないか? 

 そう訝しみながらも、聞いてみなければ正体が分からないので、その動画を再生してみた。するとそこから流れるのは、間違いなくそのEchoesですよ。あの長尺の曲を、半分に短縮してはいるけれども12分の曲として、ギターのみでカバーしていましたよ。

とにかく彼らの演奏技術に驚かされた。Pink FloydのEchoesのイントロはディレイをかけた電子ピアノの音で始まる。なんとも耽美的な曲の始まりだ。それを彼らはアナログで、アナログと云ってもアナログディレイの事では無く、ギター3本だけで表現している。1人ずつ同じ音を、タイミングを少しづつずらして演奏する。すると、あたかもディレイがかかったかのように音が重なり、あのEchoesのイントロそのものになってしまうのだ。

いや、この転んでもただでは起きない、いやカバーしてもただカバーしない彼らのポリシーに感動した。

Echoes / California Guitar Trio

・https://www.youtube.com/watch?v=kcQrvePeNT4

California guitar trioとは何者か?

 さてこの楽しい楽しいCGTとはいかなるバンドか? 彼らはもともとRobert Frippが主催していたギター教室の生徒だった。1987年にイングランドで行われたコースでこの3人が出会ったそうだ。
この3人とは、アメリカ人のPaul Richards、ベルギー人のBert Lams、そして日本人の森谷英世。

その後この3人は、Rebert Frippのギター教室の優秀な生徒で作られた、Robert Fripp & The League of Crafty Guitaristsのメンバーに選ばれる。これは1980年代後半の事で、この当時Robert Fripp & The League of Crafty Guitarists Liveと云うライブアルバムを発表している。

 Disc Unionでこの奇妙なアルバムを見つけたオレは、Robert Frippのライブアルバムだと言うだけで、内容なんか確認しないで買ったものだよ。で聞いてみて驚く。最初から最後までピロピロ、パロパロ、ひたすらDisciplineで聞かれるあの独特のギター奏法だけで構成された、ギター多重奏の曲が続く。これまたBobのファンとしてのDischiplineだと思って、それこそ何度も聞いたものだよ。

このジャケットを見たら、Robert Frippファンは思わず買ってしまうよな。内容を確認もせずに。

そのRobert Fripp & The League of Crafty Guitaristsは1991年に解散するんだけども、上記の3人がアメリカのCaliforniaに渡りCGTを結成する。オレが彼らの演奏を聴いたのは、Trioを結成して間もなくと言う事になる。その当時の演奏は、The League of Crafty Guitaristsの延長と言った感じで、ああ、Bobさんの弟子たちが頑張っているなぁ、以上の感想は持たなかった。

それ以降オレは彼らの名前を見る事はなかったのだが、まさか今だ現役で演奏活動をしているとは思わなかった。しかも、恐ろしく演奏の幅を広げ、聞いて楽しめるバンドに進化していたとは!

なんでも融合してしまう柔軟な演奏

 そんな彼らの演奏の素晴らしさをちょっとだけ、聞いて見たいと思う。聞かない事にはその、面白さ、すごさが判らないというものだ。

Pipeline

 The VenturesのPipelineなんて、彼らにとってはお茶の子さいさいだわな。この曲はオレも、Frip&Sylvianの前座時に聞いている。あの時も観客は大盛り上がりだった。彼らはどの曲も3本のギターの絡みが最高になるように、アレンジされているのが素晴らしい。これは本の腕慣らし。彼らのバンドとしての恐ろしさは、次の曲で震えて欲しい。

Zundoko-bushi

 それにしてもこのトリオの発想の自由さには圧倒される。なんでこの曲とこの曲を組み合わせるんだよ! ケーキに塩辛をコーティングしたら(←それはいくら何でもおいしくないと思うよ)、恐ろしく旨いスイーツが出来てしまったような、このあり得ない組み合わせをいとも簡単にやってのける。これは彼らの師匠の代表曲を、こんな斬新な解釈で演奏してしまった。これを聞かせれば、歴代ボーカルのGregやJohnも、墓石が倒れるほど大笑いしているに違いない。Crimsoにとって、これは正に驚天動地の21馬鹿のカバーだ。これぞまさに21馬鹿だ。

Zundoko-bushi / California Guitar Trio

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Ghost Riders on the Storm

 最初曲名を見て、おや? と思った人はThe Doorsのファン。そうこれは西部劇の曲のカバーなのだが、最後にon the stormが付く事で、別の曲に変化してしまう。まるで飛行機がロボットに変形する様を見るようだ。西部劇の名曲が、なんと途中からThe DoorsのRiders on the stormに変形してしまう。細かいエフェクト的な音まで再現しているの、その芸の細かさに彼らの音楽への敬意の現われが見てとられ。

Ghost riders on the storm / California Guitar Trio

Greensleeves

 そしてこれはグリーンスリーブス。誰もが知っているあの名曲。もちろんCalifornia Guitar Trioはそのままを演奏するわけが無い。ライブではこんな事をしてしまっている。ああああああ。ようこそ宮殿へ。彼らには不可能が無い。そしてこの期待を裏切らないアレンジ。

Greensleeves / California guitar trio

https://www.youtube.com/watch?v=HbeLuUWEpk4

ギター演奏の可能性をここまで高めた彼らこそ、20世紀の遺産を正統に引き継いだ、21世紀のプログレバンドだとオレは思う。


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