ブレードランナー ロイが救ったのはデッカードの命だけじゃない 2人の命なのだ

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ブレードランナーの制作秘話ドキュメンタリー「Dangerous Days」

 Blade Runnerには逸話が沢山あって、ファンとしては映画そのもの以外にも楽しみが多い。映画制作の苦労話のドキュメンタリー「Dangerous Days」はファンなら何度でも見たくなる内容だ。

 かさむ製作費、現場と監督の対立、役者同士の不仲、難航する撮影など、この映画が出来るまでの悲惨な話がこれでもかこれでもかと出てくる。出来てしまえば良き思い出なのだろうが、よく頓挫する事なくこの傑作映画が出来上がったものだと感心した。こんなドキュメンタリーを見た後に、再び本編を見る。何度も繰り返してみたこの映画が、更に面白くなる。

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人間からレプリカントへ?

 このBlade Rennerは何度見ても色々な解釈が浮かび上がってきたり、いったいこのシーンの意味はなんだろう? という疑問が未だに浮かび上がってくる。見れば見るほどそういう深みにハマるのがこの映画だ。


 その疑問の中でもオレにとって一番の疑問は、Roy Battyは何故ビルから転落しようとしていたDeckardの命を救ったのか? だ。初めてこの映画を見た時から、その事がずっと頭から離れなかった。最初に公開されたバージョンではRick Deckardのモノローグが入る。「自分の命がつきる時を迎え、たぶん生命がもったいないと思ったんだろう」なんて月並みなセリフなんだろう。的外れなモノローグが、せっかくのシーンが台無しだ! とオレは思っていた。

 人間Rick Deckard(彼が人間かレプリカントかは又別の機会に書こうと思う)はBlade Runnerとして、次々とレプリカントを処理して行く。その中で彼は結局のところ、女のレプリカントしか殺していない。一人目のLeonはRachelが射殺している。だからDeckardは何もしていない。2人目のZhoraは、逃げる彼女を卑怯にも背後から何度もブラスター銃で撃ち射殺する。3人目はPrisは、襲いかかってこようとバク転中に射殺。


 そして最後のRoyとの対決は、ただひたすら彼から逃げるのみ。防戦一方。それどころか、最後はRoyに自分の命を救われるしまつ。そしてRoyは寿命が来て静かに死んで行く。つまりRick Deckardは男のレプリカントは1人も殺していないどころか、2度もあやうく殺されかかっているのだ。それに反して女のアンドロイドは、背後から情け容赦なく射殺。1日に4体のアンドロイドを始末したとGaffに褒められるが、非常に卑怯で情けないだけの男がRick Deckardなのだ。そう、この映画は彼が、人間からレプリカントに堕ちて行く様が描かれている。

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RoyはなぜRick Deckardを救ったのか? 

 ビルの外壁に片手でぶら下がっているRickが転落しようとしている、正にその時にRoyは彼を救う。しかし、この時Royが引き上げたのは、Rickだけじゃないんだ。この時Royは、地に落ちようとしている自分の魂をもすくい上げたのだ。

最後の最後で、レプリカントとして生まれたRoyの体に、始めて人間としての魂が宿った瞬間だった。本来Nexus6には備わっていない魂がこの時彼に宿った。非情なレプリカントが人間に昇華し、Rickという今まさに息絶えようとした「人間もどき」に同情を感じた(つまり人間としての感情が芽生えた)。だから彼を救ったのだ。そしてそれは、レプリカント狩りという、非人間的な行為を通して人間性を徐々に失い、人間からまさにレプリカントに落ちようとしているRickの魂をも同時に、Royはすくい上げたのだ。

 そう考えると最後のRachelとの逃避行のシーンは、魂を救われたRickが、人間もどきの存在から本来の人間性を取り戻すべく、非情な世界から逃避するという事を象徴している。だが、その先に何があるのかは、誰も知らない。そういう希望と絶望が入り交じったのがこのラストシーン。1992年に公開されたディレクターズカット版には、最初に公開された版にあった森林の上を飛行する映像は全てカットしたのは正解だと思う。

レプリカントから人間へ これは魂の救済の映画だ

 長い間オレはBlade RunnerはPhilip K Dickの小説の筋を拝借しただけの映画だと思っていた。これまでこの映画の重要なテーマを見逃していた事に気がついた。それは「救済」。Royは最後の最後に人間になる事によって、自分とRick Deckardの魂の救済を行ったのだ。まさに、これこそ、後期Philip K Dickの小説群に脈々と流れているとても大事なテーマだ。それがこの映画にも受け継がれて、流れている。


 人を人足らしめているもの。人間もどきは何故人間もどきなのか? 今の地球には人間もどきばかりが繁栄している。「魂の救済」。Philip K Dickが小説で執拗に描いたこのテーマこそ、今この地球でもっとも必要としているものなのではとオレは思っている。

 このテーマはさらにBlade Runner2049にも引き継がれて、より深く追求されている。

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