人間もどきなら、羊もどきの夢を見るだろうか? フィリップ・K・ディックと出合って30年

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フィリップ・K・ディック アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

フィリップ・K・ディックという作家との出会い

フィリップ・K・ディックとの出会いはとてもありふれていて、映画「ブレード・ランナー」の原作者として彼の名を知る事になった。この映画は公開された瞬間からカルトムービーになってしまっていて、公開当時から宝島の様な雑誌で絶対見るべき映画としてよく取り上げられていたのだ。オレも宝島を熟読していたんで、この映画は映画は気になってしょうがなかった\。


そんな訳でこんな映画原作の「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」というSF作品はどんな物語なのだろう?と、長い変わったタイトルの本を実際に手に取ってみた20歳のオレ。「アンドロ羊」はなんとも不思議な作品だった。「ブレード・ランナー」の様なアクションを期待して読んだだけに、大きな期待外れというのが正直な当時の感想だった。

映画のように6体の逃亡アンドロイドを見つけだし、処分するというおおまかな筋書きは一緒なのだが、この小説の主題は生き物って何だろう? アンドロイドと生き物の違いは何だろう? その問いかけが常に作品中に流れている。

核戦争でほとんどの生命体が滅んだ荒廃した地球が物語の舞台だ。人間が、人間に偽装したアンドロイドを、人間じゃないという理由でデーッカード達バウンティハンター(映画ではそれをブレードランナーと呼んでいる)が殺戮していく。ミイラ取りがミイラになる。悪をたおすには自らも悪にならねばならない。人間である主人公デッカードがアンドロイドを「処理」して行くごとに、どんどん自らが「非人間的に=アンドロイド」になって行く様を描いている。

■Philip K Dickとはどんな作家か

フィリップ・K・ディック – Wikipedia

44編の長編に加え(2010年1月現在)、ディックは、約121編の短編小説を書いた。そして、そのほとんどがSF雑誌に掲載された。ディックは、作家になってからは、ほぼ常に貧乏だったが、死後になってから、彼の作品が『 ブレードランナー』、『 トータル・リコール』、『 スキャナー・ダークリー』、『 マイノリティ・リポート』といった映画になってヒットしている。『 バルジョーでいこう!』(Confessions d’un Barjo )のような一般映画も、ディック作品を原作として生まれている。2005年、 タイム誌が1923年以降の英米の小説ベスト100を掲載し、そこにはディックの『ユービック』も含まれていた。2007年、ディックは、SF作家として初めて The Library of America series に収録されることになった。

崩壊する現実

作中世界ではマーサー教という新興宗教が流行っている。共感ボックスという装置を使えば、信者達が精神を共有して繋がる事が出来る。それは作品発表当時のヒッピームーブメントの精神を取り入れたのだろうと思う。このあたりの描写は今に思えばサイバーパンクの奔りだと思う。


またデッカードが遭遇した、その存在を初めて聞く別の警察組織の警官に遭遇する。同じ市内にありながら、警官が自分の知らない警察組織に身柄を拘束されるなんて話も出てくる。これはフィルお得意の現実崩壊。読者は何が何だか分からなくなり混乱させられる。この頭のくらくらする感覚こそ、フィリップ・ディックの世界なのだ。

初めてフィルのそんな世界に触れたオレは、期待外れの変な小説を読んだなぁと思ったよ。

そんな感想を持ったにも関わらず、何故かこれを切っ掛けにして、フィルの他の作品を次々と読破して行いった。出会いから30年。彼の邦訳はほぼ全て読んだ。中には何度も繰返し読んだ作品もある。それに飽き足らず、英語の原書まで読むほどのフィリップ・K・ディックマニアになってしまったのがオレ。

最初に「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を読み終えた時には、自分がこんなフィルマニアになるなんて思っても見なかった。つい最近まで読んでいたのは、「Do androids dream of electric sheep?」 出合って30年目にまた同じ作品を、こんどは原書で読んでいる。

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人間を人間たらしめているものは何か?

フィルがこの作品に込めた、「何が人間を人間たらしめているのだろう?」と言う問いかけは、まさに現在ほど問われている時代は無いんじゃないかと思う。

情も暖かみも無い政府に政治家、官僚、公務員組織、グローバル企業。この国を支配しているのは、まさに人間なのに人間とは言えないアンドロイドばかりだ。フィルの描いた悪夢がまさに現実化したのが、今の日本じゃないか。

そんな人間もどきが見る夢は、きっと羊もどきの夢なんだろう。あなたの夢に出てくるのは、本物の羊ですか? それともまがいモノの羊ですか?

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ここまで読んで頂きありがとうございます。

私の記事をソーシャルメディア等でシェアしていただければありがたいです。 東倉カララ

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