キングクリムゾンのエピタフが家族団欒の時間に鳴り響く1980年の北海道オホーツク地方

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キングクリムゾンのジャケットのような犬の顔 エピタフ犬

エピタフが家族団欒の時間に鳴り響く

 「彼がとっても良い曲だから聞いてごらんといって聞かせてくれたのがこの曲です。King CrimsonのEpitaphをリクエストします。」

 1980年の初夏、いつものように夕方6時から放送している、NHK-FMの北見局制作のリクエスト番組・KPジョッキー(NHK北見のコールサインJOKPからこの名前を付けられて)を聞いているとこの様なリクエストがあった。これが、オレとKing Crimsonの初めての遭遇だった。


これまでこんな長い、壮大なロックの曲はこれまで聴いた事無かった。陰鬱で大げさでいて、それでもロック・ミュージックと形容するしかない曲がエピタフ。だった。ロックなのに、曲にはフルートやクラリネットの演奏まで入っている。またドラムはそれまで聴いていたようなビートは無く、とても複雑で恐ろしく手数が多い演奏。なんだこの音楽は! しかも曲が長い! オレには衝撃の8分間だった。

 そう、この番組は夕方の家族団らんの時間に8分間もする長い曲、しかもこんな沈欝(後に知るが、歌詞も物凄く暗い)な曲をノンカットで放送している。
 そしてEpitaphを聞いてから1月も経たないうちに今度は、同じアルバムに収録されているIn the court of the Crimson Kingが流れる。夕食時の一家団欒の時間にKing Crimsonが流れるKPジョッキー。

あの衝撃のジャケットとご対面

 この衝撃を胸に、レコード屋に駆け込んだのは言うまでも無い。King Crimson、いったいどんなバンドなんだ? そして更なる衝撃は「あのジャケット」をレコード棚から取り出した時だ。ジャケットのあまりのインパクトに、オレは打ちのめされる。一度見たら忘れられない「あのジャケット」。地元レコード屋のレコード棚から、King Crimsonの1stアルバム「In the court of the Krimson king」を引っ張り出した時に、オレはしばし凍りついた。

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NHK-FMの夕方6時代は各地方局制作の番組が流れていた

 あのころのNHK・FMの18時からの1時間は、地元局制作のリクエスト番組を放送していた。確か月曜日と水曜日はポップスの日(洋楽の日)、火曜日と木曜日は歌謡曲の日(日本のロックも含む)で、金曜日が何の日だったかもう覚えていない。どの日も基本的に視聴者からのリクエストで成り立っていた放送だった。


 北見局といえば、オホーツク管内のたった36万人(当時。今は30万人)をカバーする局。そんなクソ田舎の局なのに、なんでKing Crimsonみたいなマニアックなロックバンドの曲がリクエストされるんだ? しかも彼に教えてもらったからって、女(たぶん10代)からリクエストされるような曲じゃないぞ、King Crimsonは。

 そんな疑問は今だから思う訳で、当時は別におかしいとも思わなかった。それ以外にも、この番組で知ったマニアックなロックの名曲の数々がある。The Beatlesみたいな超メジャー・バンドの曲が流れる方がもちろん多かったけれど、今思えばなんでこんなバンドの曲がリクエストされるんだ? という投書が多かった様に思える。長〜い長ーいEL&Pの曲もこの番組で聞いたぞ。


 大学時代に仲良くなったロック友達からも「なんでそんな北海道の片隅で住んでいて、そんなバンドばっかり聴いていたんだ?」とよく不思議がられた。

 こんな辺境の地こそ、こんな複雑怪奇な音楽が似合うのかもしれない。そうここは、魑魅魍魎が集まる日本の鬼門なんだから。

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