多くのアーティストにカバーされるキンクスの楽曲、名曲選
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The KinksとKing Crimson 対照的な音楽的資産
以前、Robert Fripp師匠は何故過去のライブ音源を商品化して出しまくるんだろうか? という文を書いた。
同じく敬愛するロック・ミュージシャン、Sir Ray Davies様の事を考えてみると、2人はとても対照的だと云う事に気がついた。King Crimson、The Kinksどちらもオレが大好きなバンドなのだが、売り上げ、知名度と云う点で比較してみると、圧倒的にThe Kinksの方が巨大だ。多分売り上げで行くなら、The KinksはKing Crimsonより最低でも100倍稼いでいるだろう。
The Kinksは全英、全米のヒットチャートの上位に入るヒット曲を多数持っている。No1になった曲だって1曲や2曲じゃない。70年代〜80年代にかけて、The Kinksはアメリカでスタジアム・コンサートをやっていた時期があるのだ。
それだけ売れていれば、U.Kに多大な貢献がある訳で、Ray Davies様はSirの称号を賜った。しかもThe Kinksの曲は多くのバンドにカバーされているので、それだけでも、黙っていても印税が津波のように押し寄せてくる。
Ray様はRobert Fripp師匠のように、過去の音源を次々と再パッケージして売り出さなくても良い身分なのだ。そう考えるとFripp師匠は葛飾区の町工場の社長のようにも思える。社員を食わす為に(いやかって所属した社員の年金を払う為に)、一生懸命過去の作品「特許」を上手く利用して稼いでいるのだ。
The Kinksを知る切っ掛けはカバー曲から
オレがThe Kinksと言う存在をを知った切っ掛けは、やはりというかVan HalenがカバーしたYou really got meだった。Van Halenバージョンの大ヒットでThe Kinksのオリジナルもラジオから流れてきた。オレにはこっちのほうがかっこよかった訳だよ。バターでギットギトの料理みたいなVan Halenバージョンは好きにはなれなかったな。
この曲を切っ掛けに、しだいにThe Kinksの世界にのめり込み、多くのミュージシャンがThe Kinksの曲をカバーしている事を知る事になる。あの曲この曲どれもThe Kinksってことで、ちょっと思いつくのを集めてみたらあっというまにこんなになってしまった。
※手っ取り早く聞きたい人向けにプレイリスト作ってみた。
■Victoria / The Kooks
このカバーは2009年の作品。
The Kinksと何か似たような響きを持つバンド名のThe Kooks。Kookっていったいどんな意味なんだろうと辞書を引くと「変人」と出てくる。おお! Kinkは「変わり者、変態、ひねくれ者」の意。The Kooksってバンド名からして、The Kinksへの賛辞ではないか! ますますこのバンドも好きになってしまった。
このVictoriaは1969年に発表された曲なんだが、古き良き時代の世界に感たる大英帝国を作り上げたビクトリア女王を褒め称える歌。そしてこれはThe KooksのThe Kinksに対するあふれんばかりの敬意、愛情が込められているカバー曲。
この曲は「War child:Heroes」という、戦禍に苦しむ子供達のチャリティーアルバムでしか聞く事が出来ない。なんでもアーティスト側から、カバーして欲しいミュージシャンを指定してカバーさせたんだとか。さすがRay様。The Kooksを選ぶとは。
このアルバムWar child:Heroesについては、ここを見てね。他にも素晴らしいカバーが収録されている。
■Waterloo sunset / Def Leppard
これはDavid Bowieのカバーも有名なんだけども、オレにとってはとっても意外なバンドがカバーしていたのでこちらを紹介するよ。こんな叙情的な歌がヘビメタバンドにカバーされているとは。でもハードロック調もいけるなぁ。2006年の作品。
■David watts / The Jam
パンクロッカーにも支持されていたThe Kinks。実はオレこの曲はThe Jamのオリジナルだと思って聞いていたのだ。ある日ライナーノーツを読んで初めてThe Kinksのカバーだと知った(1983年ごろの事)。正確にカバーしているんだけども、The Kinksの味わいが出ず、乾いたチーズのようなカバーだった。R&BのカバーならThe Jamは良いものがあるのにね。1978年の作品All mod consに収録。
■Where have all the good times gone / David Bowie
実はオレこの曲があまり好きではない。でも何故か人気で、いろいろな人にカバーされている。一番有名なのがこのカバーだが、何とも言えない厭世観が良いのかね。歌詞と合わせて聞くと、よりこの曲の味わいが深まってくる。David Bowieの1973年の作品Pin upsに収録。
それにしてもDavid Bowieは凄いと思う。The Kinksそのままのカバーなのに、見事David Bowie色に染め切っている。何を歌ってもDavid Bowieにする。きっと三波春夫の「世界の国からこんにちは」を歌わせても、David Bowieの曲にしてしまうと思う。まったくもって凄い歌手だ。
そうかこの曲、Van Halenもカバーしてるのか。あいつらもThe Kinksが好きなのか。アメリカ人のくせに、ちょっと見直したぞ。
■All day and all of the night / Stranglers
このカバーが発表されたのはオレが大学生の頃だったんだよな。何故かThe Kinksの曲のカバーは、原曲そのままと云うのが多い。思い切ったアレンジにチャレンジしてもいいのにと思うのだが、Ray様の作り上げたものはいじりようが無いのだろうか? これも原曲そのまま。1988年の作品。
■Set me free / Graham Bonnet
動物からつくった素材の物は一切身に付けない厳格なベジタリアンで、アル中のグレアムさん。だからRainbowなんてハードロックバンドのボーカルをしてても、革ジャンなんて決して着ません。Ritchieにギターで殴られても屈しません。スーツにスニーカーでキメます。1981年の作品Line upに収録。このアルバムは孤独のナイトゲームスと言う日本題で知られている。西城秀樹のカバーも話題になったね。
■Lola / Madness
もともとが南国調の曲なのでMadnessが演奏しても違和感が無い。このカバーでもチェリーコーラと歌っているな。2005年の作品The Dangermen Sessions Vol. 1に収録。
■Celluloid Heroes / Blackmore’s Night
あまりにも意外な人がカバーしてたので、見つけた時は驚いた。とってもしっとりとした作品になっていて、Blackmore’s Nightの雰囲気にピッタリ。やはり曲が良いと誰が歌っても名曲になってしまう典型例だな。2010年の作品Autumn skyに収録。
■Stop your sobbing / Pretenders
元カノChrissie Hynde。1982年の奇跡のThe Kinks初来日は、Pretendersが日本にツアーに行くからと云う理由でThe Kinksも来てしまったんだとか。でもその後Jim cerrに取られちゃうんだよね。泣いたのはRay様だったという落ちがついた。1979の彼らのデビューアルバムに収録。
■Tired of Waiting for You / Green Day
これまたなんのひねりも無くThe Kinksのアレンジそのまま。ギターがアメリカンパンクらしく軽薄に歪んでいるだけ。原曲をそのままコピーするだけなら、なんでカバーするんだか? と少し不思議になるのだが。やはりThe Kinksに対する敬意の現われなのかね。それともやっつけ仕事だったのか? 1997年に発売のシングルBasket caseのB面曲(←死語)。
■you really got me / Robert Palmer
普通はここはVan Halenのカバーを持ってくるところだが、なんせThe Kinksの鋼の筋金入りのファンなもんでオレは天の邪鬼。なのである。ここはあえてRobert Palmerを選んだよ。今回選曲した中で、これが一番原曲から遠い氣がする。でもオリジナルは、もともとはR&Bをモチーフにしていたので、このカバーは先祖返りともいえるね。1978年のDouble funに収録。
番外
■Hello I love you / The Doors
これはカバーじゃなくてThe Doorsのこの大ヒット曲が、1964年に発表されていたAll day and all of the nightにそっくりだと話題になり、盗作騒ぎになった曲。オレが中高生の頃に聞いた話だと(ラジオで誰かがそういっていた)、The KinksがThe Doorsを裁判に訴えて、The Doorsが負けたと聞いた。今あれこれ調べてみるとそんな事実はないようだ。Sir Ray Davies様も似ているとはと思ったけれども、訴えはしなかったと来日時のインタビューで語っていたそうだ。おれはどっちも好きなんだけどね。似ているかなぁ? 似ているか。
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