クークスのレッツゴーサンシャイン、豊かな表現力を得て原点回帰 The Kooks/Let’s go sunshine
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The Kooksのニューアルバム、Let’s go sun shine
The KooksのLet’s go sun shineが先月末に我が家に届いた。彼らの公式サイトで、サイン付きCDを予約購入したものだ。Englandから発送されたのだが、発売日遅れる事3日程で我が家に届いた。アイキャッチの画像が、そのサインつきCD。今日の時点ではサイン付きCDはまだ少数購入出来るが、アナログLPやカセットはもう売りきれ。Englandでもアナログ人気は根強いらしい。確かにこの音はLPで聞きたい豊かな音だ。
さて、オリジナルアルバムとしては前作のListenから4年ぶりの今作、期待は高まるばかり。先行でいくつかの曲が視聴できたのだが、どれも恐ろしく素晴らしい曲ばかりだった。
今作は当初Listenと同じ路線で制作を始めたそうだ。つまりダンス・ロック・ミュージックって事だろう。ところが作っているうちに、これはThe Kooksのアルバムじゃない! と云う事を感じ始めて制作を中止。本来の彼らの音に回帰すべきだと、アルバム制作をやり直したと云う経緯をたどった。本来のThe Kooksサウンドとはいったい何か?
これぞThe kooks!
それはこのアルバムが全てを語っている。美しく甘美でポップなメロディー。かき鳴らし、時には歌うようなギターサウンド。緩急自在のリズム。確かにこれは彼らが語る通りに、彼らが目標としたThe KinksのLola vs powerman等々の名作アルバムに匹敵する楽曲の出来になっている。これはまさしく30年後の若手バンドが目指すサウンドだ。
もう1曲目から、The Kooksサウンド全開。おじさんの心までとろかすようなメロディー。もうこれは完璧と云っていいような出来だ。何処を切り取っても、Britishサウンド、The Kooksサウンド。聞いていて、これはThe Kooksの新譜じゃなく、ベストアルバムを聞いているのじゃないか? と錯覚するような粒ぞろいの名曲が続く。これだけの名作アルバムは近年聞いた事がない。
これからも長く続くThe Kooksのキャリアの中で、このアルバムのもつ意味は、今後より重要度を増すように思う。ヒップホップのプロデューサーを迎えて作られた実験作Listen。それまでの彼らの音を捨て、大胆にダンスミュージックに挑戦しながらも、彼ら特有の素晴らしいメロディーとダンスチューンと云う組み合わせは非常に新鮮で面白かった。だが、これはやはりThe Kooksじゃない。
The Kooksとは何か? と云う問いかけに答える為に、あのようなアルバムを作る必要があったのだろう。これまでの自分たちの音楽から遠く離れる事によってこそ、客観的に自分たちの本質を知る事が出来たのではないか?
オレとしてはListenは非常に戸惑ったアルバムだった。買って1度聞いただけで、しばらく再び聞く事がなかった。だが、しばらく経ってから聞き直してみると、まるでプリンスのようなダンスミュージックにも関わらず、溢れるように滲み出てくるThe Kooks節。どのような音の衣装をまといながらも、決して何者にも染まらないもの、それがThe Kooksの本質なんだと思う。
そうして彼らは自分たちが何者かと云う事を改めて認識して、そして作り上げたのがこのLet’s go sun shineだ。Listenを作る事により、ダンスミュージックのエッセンスをバンドに取り込んだ彼らは、このアルバムにもそのエッセンスをやはり取入れている。その事により、従来のサウンドをより膨らまし、音楽的に多彩な表現力を得る事が出来た。やはり前作Listenを作った事は無駄ではなかった。
9月5日ロンドンのMoth clubでのライブ
何はともあれ、よりしなやかに、より表現力を増したThe kooksの歌を堪能してもらいたいと思う。これはベストアルバムと勘違いしてしまいたくなるような、ただの新作アルバムだ。
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