URC再発見! URCレコード誕生50周年 不死身のアングラ音楽
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2020年はURCレーコードが生まれて50年目
昔、日本にはURCレコードと云うレーベルがあった。今年はそのURCレコードが誕生して、ちょうど50年目だと云う。URC? なんだそれ? と云う声も聞こえてきそうだ。URCレコードって云うのは、日本のインディーズの草分けと言われるレーベルなんだ。
設立当初は会員制のレコード通販を行う予定だったと云う。会費を払うと毎月マイナーなフォークのレコードが届く仕組みだったらしい。が、入会者が殺到してしまい、結局正式なインディーズレーベルとして発足したんだそうだ。そんな事はオレが2歳の頃の話なので、何も覚えていない。そりゃ、そうだ。
URCとはアンダーグラウンド、レコードクラブを意味する。その名の通りで、マイナーで、おどろおどろしく、日の光なんか浴びたら死んじゃいそうな、そんな日陰者が集まるレーベルのはずだった。世間で流行っている最新の音っていうのは、所詮外国の音楽の借り物なんだ。
そんな外面ばかりきらびやかで、中身のないスカッスカの音楽じゃ満足しないという人は、実は決して少数派では無かったんだろう。人気が人気を呼び、そんなアングラ音楽(アンダーグラウンドというよりも、アングラと云う響きの方がやはりふさわしいと思う)を奏でるミュージシャンが、続々と集まった訳だよ。
より詳細はウィキの記述を見ておくれ、敦夫さん。
■URCレコードとは
URCレコード50周年を記念してアルバムが復刻される
そのURCレコードの50周年を記念して、かってこのレーベルから発売されていた数々の、日本のロック(フォーク)の黎明期を作った傑作アルバムが再発される。
遠藤賢司、加川良、はっぴいえんど、高田渡と5つの赤い風船、なぎらけんいち、早川義夫、ザ・ディラン2、三上寛、その他多数。なんだかもう、おじいちゃんの家の何十年も開かなかった箪笥の引き出しが、突然開いたようなもんだ。中にはお宝がいっぱいだ。
発売カタログを見てみると、オレが1番氣になって仕方がないのが、2月19日に発売される「URC 50thベスト・青春の遺産 (田家秀樹セレクション)」だ。これはCD3枚組のコンピレーションで、田家秀樹さん(音楽業界の生き字引だそうだ)が選択した、URCレーベルの真髄ともいえる楽曲を選択した、ベストオブURCレコードと云えるアルバムだろう。
そしてもう1枚、3月4日には2枚組の「URC RAREシングルズ」も発売される。こちらは和久井光司さん(総合音楽家と云う肩書き。いったいそれはなんだ?)選曲の、アルバムタイトル通りなレア・シングル・コレクションと云う事だ。アルバム未収録曲、未収録テイクからよりすぐったアングラ音楽の世界。こちらもとても楽しみな内容だ。
若い子が聞いたら、絶対に人生が狂う事間違い無い内容だ。重いんだよ。言葉が、音が。50年前の音楽が古いだって? そんな事はない。発売当初より輝きが増しているのだ。この人間の存在がどんどん安っぽく、軽くなってしまった今こそ、この濃厚な音楽を聴くべきだ。本来人間はこんな音楽を生み出せるほど、創造的な存在なんだ。
Discover URC
「URC 50thベスト・青春の遺産」の発売が楽しみで仕方がないのだが、発売までは「Discover URC」と云うアルバムを聞いて、その日を待とうと思う。
このアルバムは2003年に発売されたコンピレーションで、URC所属アーティストの楽曲を、若い世代のミュージシャンがカバーした作品だ。もう20年も前の話なので、若いと云っても今じゃみんな大御所、中堅どころになってしまった。
ジャケットはまるでジャズのアルバムカバーみたいで、ちょっとおしゃれだ。だがおしゃれなのはジャケットだけで、中身はドロドロの暗黒世界の歌の数々が蠢いている(それほど暗黒でもない)。もうこうなりゃ爽やかなくらいに、おどろおどろしい。
どの楽曲も保証付きのアングラぶり。そんなアングラ歌曲を現代のアーティストがカバーしたらどうなるのか? という試みがこのコンピレーションなのだ。60年代のアングラフォーク、ロックが、2000年のロックミュージシャンによって息を吹き込まれる。するといったいどんなことが起きるのか?
★1曲目 明日なき世界/忌野清志郎
オリジナルは高石友也とジャックス。Barry McGuireの歌に彼らが日本語詩を付けたもの。RCサクセションのCoversでもカバーされているので知っている人も多いと思う。
このギター演奏、リードも、ソロも良いんだなこれが。RCのバージョンと違って力が抜けてよりシンプルなんだけども、その分何か氣がより高まっていて実に熱い演奏だ。で、このバックバンドは誰なんだろう? と思って調べてみると、全部清志郎が演奏しているじゃないか。いやぁぁ、実にこのギター心にしみる。さすが親に「大学は行かないで、ギター弾きになる」と言っただけの事はあるね。
★2曲目 流行歌/ウルフルケイスケ with Theイナズマ戦隊
オリジナルは加川良。古い歌なのに、こうやって聞くと、まるで今の人が作ったような氣にさせられる。パンク・ロックと当時のアングラフォークは根っこに共通するものを持っていたんだと思う。
本物の音楽って、光さえ与えればいくらでもその時代に相応しい音として生き返るものなんだ。音楽は何時だって光を当てられる日を待っている。
★3曲目 プカプカ(みなみの不演不唱)/大西ユカリと新世界
オリジナルは西岡恭蔵(象狂象)。このバージョンを聞くまで、自分でも理由が分からないが、この曲は嫌いだった。大槻ケンヂもソロアルバムでカバーしていた。たとえ大槻ケンヂが歌っても好きになれなかった曲だ。だけども、この大西ユカリの歌う、この演奏を聴いていたら何故か大好きになってしまった。25年ほど前にとある集まりで、偶然にも西岡恭蔵さん本人が「プカプカ」を歌っているのを聞いている。今思えばあれは貴重な体験だったなぁ。そのことについては、後日投稿する予定。
この歌で歌われる「あん娘」とは、ジャズシンガーの安田南さんなんだそうだ。
★4曲目 自衛隊に入ろう/ガガガSP
オリジナルはは高田渡。歌詞は当時の自衛隊のキャンペーン広告の文面をそのままつかったらしい。いくら何でも、そんな広告に「悪いソ連や中国をやっつけましょう」なんて載せられないから、この辺りは高田渡の創作だと思うのだが。(←この部分オレの勘違い。この歌を聴いた自衛隊の広報の人が、「この曲を自衛隊員募集に使わせて欲しい」と言ってきたと云う話を、オレが逆に記憶してしまったらしい)。のんきなスローテンポで始まり、サビで高速チューンになるこの展開が、恐ろしく心地よい。パンクとフォークは融和性が高いね。
★5曲目 空はふきげん/空気公団
オリジナルは金延幸子。金延幸子は女性シンガーソングライターの草分けと云われるような人なんだそうだ。作曲がなんと大滝詠一。大滝詠一もはっぴいえんどとしてURCの所属なんだな。
★6曲目 コーヒーブルース/Quinka witha Yawn
オリジナルは高田渡。京都の老舗喫茶店「イノダ」の事を歌っているそうだ。今でもあるのかね、その喫茶店と思ってちょっと調べてみた。なんと今じゃ日本中に支店があるというじゃないか。現実はちょっと風情が無い。
★7曲目 君はだれなんだ/GREAT3
オリジナルは西岡たかし、木田高介(ジャックス)、斉藤哲夫の3人によるプロジェクト。それにしても不気味なこの歌詞に、そしてそれに相応しいこの演奏。GREAT3のオリジナルとしか思えないほどハマっている。
★8曲目 青い魚/GRAPEVINE
オリジナルは金延幸子。70年代ロック調のこの演奏が良いんだが、このバンドについては全く知らないオレ。こういう知らない音に出会えるというのもこういったコンピレーションの良いところなんだな。
★9曲目 白い家/SAKANA
オリジナルは加川良。
★10曲目 鎮静剤/夏木マリ
オリジナルは高田渡。原詩はローランサンで、高田渡が曲を付けたものらしい。このアルバムのもっとも聞き応えのある曲がこれだと思う。何て沈欝な詩。単純な繰返しの曲なのに、繰り返される度に、狂気がどんどん深まって行く。その狂気の深まりと相反する、おしゃれなジャズっぽい演奏が、より孤独感を深めて行く。見事だ。
★11曲目 あなたもスターになれる/フラワー・カンパニーズ
オリジナルは三上寛。これまた歌詞のパンクぶりがスゴイ。この曲を聴いて、オレは三上寛を知ったんだよ。彼の1stは日本のロック史上、No1を付けたい傑作だと思う。歌の狂気はフラワーカンパニーズを別のバンドにしてしまっている。音楽にバンドが憑依されてしまったようだ。
★12曲目 満足できるかな/ブロンソンズ:みうらじゅん&田口トモロヲ
オリジナルは遠藤賢司。不滅のロックンローラーのはずなのだが、2017年秋に亡くなってしまった。みうら鈍さんもこういう事好きだよね。
★13曲目 悩み多き者よ/メガマサヒデとサンボマスター
オリジナルは斉藤哲夫。オレぐらいの世代だと、斉藤哲夫と聞いても、ピカピカに光りまくっていた宮崎美子の豊満なビキニ姿しか浮かんでこない。今でもかわいらしいおばちゃんだよね、宮崎美子さん。それにしても斉藤哲夫、老成している。この詩を書いた時彼は弱冠19歳だったとか。
★14曲目 まちは裸ですわりこんでいる/YO―KING
オリジナルは友部正人。2年前からオレは髪を自分で切る事にした。Yo-Kingを真似して切ったつもりなんだけど、クルクル天パなもんで、ラーメン小池さんみたいな髪形になってしまうのが今一番の悩み。
★15曲目 もしもし/LOU
オリジナルは友部正人。
★16曲目 昭和の銀次/なぎら健壱&オウンリスク
なぎら健壱本人によるセルフカバー。
なぎら健壱って、深夜番組でエプロンしか着ていないねーちゃんを、変態みたいな目でなで回しているだけのオッサンってイメージなんだが、ちゃんした歌歌いなんだよ。
こうやって聞いてみると、アングラ歌曲の生命というものは恐ろしく力強いと言う事がはっきりと分かる。これはカバーアルバムなんかじゃない。音楽が、自分の姿を21世紀に浮上させる為に、新しい時代のミュージシャンに乗り移って演奏させているのだ。音楽がミュージシャンを選んだんだ
これらの音楽はきっと、100年経とうが同じようにその時代のミュージシャンを選び、歌われるんだろう。音楽は生きている、永遠に。その事をこのアルバムは証明している。
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